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端坊旧蔵 永正本 蓮如本(西本願寺蔵)


蓮如本(西本願寺蔵)
■序
■第一条
■第二条
■第三条
■第四条
■第五条
■第六条
■第七条
■第八条
■第九条
■第十条
■第十一条
■第十二条
■第十三条
■第十四条
■第十五条
■第十六条
■第十七条
■第十八条
■結語
■流罪記録
■奥書

一 佛法の方に、施入物の多少にしたがて大小佛になるべしといふこと。この条、不可説なり不可説なり。比興のことなり。まず佛に大小の分量をさだめんこと、あるべからずさふらうか。かの安養浄土の教主の御身量をとかれてさふらうも、それは方便報身のかたちなり。法性のさとりをひらひて長・短・方・圓のかたちにもあらず、青・黄・赤・白・黒のいろをもはなれ[*1]なばなにをもてか大小をさだむべきや。念佛まふすに、化佛をみたてまつるといふことのさふらうなるこそ、大念《だいねむ》には大佛をみ、小念には小佛をみるといへるか。もしこのことはりなんどにばし、ひきかけられさふらうやらん。かつはまた檀波羅蜜の行ともいひつべし。いかにたからものを佛前にもなげ、師匠にもほどこすとも、信心かけなばその詮なし。一紙半錢も佛法のかたにいれずとも、他力にこころをなげて、信心ふかくば、それこそ願[*2]の本意にてさふらはめ。すべて佛法にことをよせて、世間の欲心もあるゆへに、同朋《ぼう》をいひをどさるゝにや。
【注記】

*1
右行間に「な」一字補記
*2
右行間に「の」一字補記
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